バッテリーの補水
バッテリー内の電解液は自然蒸発で深刻なほど減っていくことはそうありませんが、 電気分解によって蒸発して減少することは充分に想定される現象です。 バッテリーの内部では鉛の極板と電解液(希硫酸)が化学反応を起こすことで電気を 発生していることは、理科の授業では習いませんし化学の授業でも詳しく教わる人は 全ドライバー人口から考えるとほんの一握りで、8割以上のドライバーはそのことを 知らないか授業以外で知識を吸収してきたのだと思われます。 この化学反応は水蒸気の発生を伴うのでバッテリー液もほんの少しずつ、目に見えない かもしれませんが毎日確実に減少しているのです。 昨日までは素晴らしいと拍手を贈りたくなる絶妙な量のバッテリー液だったのに今朝 調査をしたら3センチも減っていた、と極端な蒸発は自動車を正常に使用していたので あれば考えられないことですが、「あれ、水面が昨日よりも0.01ミリ低くなってる かもしれないけど蒸発しちゃったかな?」ならば日常茶飯事の出来事です。 なので愛車の整備をする時や車内の清掃をする時に水面をチェックして足りているか どうか確認する癖を付けておくと、助手席に座る同乗者も安心でしょう。 バッテリー液が少なくなりすぎると内部の極板が水面上に露出してしまう由々しき 事態の発生となり、バッテリーの寿命が一気に縮まってしまいます。 そうなる前に整備工場へ持ち込むか、カー用品店でバッテリー補充液を購入して補水 しなければバッテリーごと交換せざるをえなくなります。 お急ぎならガソリンスタンドでも扱っているのでそこで頼んでもいいでしょう。 ただし手間がかかるからと台所の水道から流れ出る液体を使うのだけは絶対にしては アウトな行為なのでやめておきましょう。
メンテナンスフリー
最近のバッテリーの中にはメンテナンスフリーを謳う製品もありますが、これはどんな 仕組みでこの通り名をつけられているのでしょうか。 ほとんどの製品ではバッテリー液が減りにくい、補水の手間がかからないことを売りに しているようで、そこからメンテナンスフリーと呼んでいるようです。 カルシウム合金などを使用することで電解液の蒸発が少なくなるように作られていたり、 セルキャップに電解液の蒸発を防ぐ加工が施されているもの、またはセルキャップの 無い密封型などがメンテナンスフリーのバッテリーとしては注目されています。 蒸発が少ない分補充の手間も省けますよ、というのがその理屈で実際にバッテリー液 の減りも減少するのですが、電気分解による電解液の減少もあるので全く減りません とはいかないので注意しなければなりません。 「これなら補水いらずだぜ、4年間このまま使い続けようっと」と考えていると、 3年位でエンジン始動ができなくなることもあるかもしれません。 メンテナンスフリーという魅惑的な言葉を過信しすぎて本当に何ひとつメンテナンス をせずほったらかしにしていると、「あれ、完全にメンテナンスは不必要だという 意味ではなかったのか」と思い知らされるでしょう。 メンテナンスの手間は半減、もしかしたら8割減になるのかもしれませんが、全くの ノーメンテナンスでも問題ないですよというほど便利なアイテムではありません。 車検の時には当然のこと、定期検査でも油断して見逃さないようにして下さい。
しばらく乗らないカー
自動車を所有しているけどしばらくは使わない、使えないという境遇に身を委ねる ことになる人も千人のドラーバーがいれば数人から数十人はいるかもです。 出張でしばらく自宅を離れることになるけど駐車場が確保できないから一緒に自動車 を連れて行けない、一週間の海外旅行の予定だったけど滞在先で不運なトラブルに 巻き込まれていつ日本に戻れるか分からない、あるいは運命の出会いがあって滞在を 一ヶ月延長することになった、なんてことは作り話の中だけでなく現実に起こりえる ことなので、「いつだって自分はスケジュール通りに動ける人間さ、3年後の予定 までもう決まってるし」と吹聴している人でも無縁ではないのです。 もししばらくは乗れないことが決定的になったのなら、その自動車には少し細工を 施しておくと次回乗車時にあなたは助かるかもしれません。 自動車はエンジンをかけていない間、ガレージに収納されている間もバッテリーに 蓄えられた電力を消費し続けています。 時計やカーナビゲーション、ステレオなどはバックアップ電源として少しだけですが、 皆さんが眠っている夜中でも夜勤明けの人が眠っている昼間でも電力の供給を受けて 次回の活躍を心待ちにしているのです。 なのでその期間が長ければバッテリーも空になり、久しぶりのエンジン始動は不発の 結果になるかもしれない、これが長期間使用されない自動車の多くが見舞われる不運 な出来事として有名なアクシデントです。 そうなるのがわかっているのなら、これを回避できるかもしれない方法があるので 一応やってみてはどうでしょうか。 作業は簡単の一言、バッテリーのマイナスターミナルを外しておくだけです。 これで車内に電力を供給することを防げますので、バッテリーの減少速度は通常よりも 緩やかになるはずです。